ノリおばさん
ノリおばさんが亡くなった。
小さい頃、夏休みと冬休みに家族でおばさん宅へ行くのが恒例になっていた。
高校生の頃だったと思う。戦争について「こうきくん達のような若者が巻き添えになるのなら、年老いた私が盾になる。それが私達の役目」・・・と話してくれた事を今でも覚えてる。
ふっくらした顔はいつも優しく笑っていて、話すのが大好きなおばさんだった。
大学生の頃、おばさんが介護施設に入ったと聞いて一度だけ会いに行ったことがある。昔の面影は全くなく、顔は痩せ、元気もなく口数も少なかった。
今日は通夜。雨が降り、空には虹がかかり、風にあおられ海は荒れていた。僕はなぜか『LET IT BE』を何度も聞いていた。仕事を終えて、おばさんに会ってきた。見馴れない礼服を着た僕を見て、おばさんは驚いたかもしれない。
おばさん、ふらふらしていた僕もようやく社会人としての一歩を踏み出せました。報告が遅くなって、ごめんなさい。
おばさんの事だから、温かく僕を迎えて、きっと優しい言葉をかけてくれたと思います。
どうか、ゆっくり休んで下さい。今まで本当にありがとうございました。