キキ

昨日、実家の猫『キキ』が死んだと父から知らされた。15歳だった。
2週間前にご飯を一切食べなくなり、先週動物病院で診てもらうも原因がわからず、栄養剤をもらい帰宅。栄養剤が効いたのか、しばらくはご飯を食べるようになった。でも、相変わらず、押し入れで大人しくしたまま。
昨日、瞳孔がひらき、弱々しく鳴き、呼吸の時に胸で大きく動き、苦しそうにしていたため、急遽、両親が病院に連れて行ったところ、心臓に大きな腫瘍が見つかり、手術をしても体力が持たないとのことだった。前回、診てもらった時に腫瘍の話は出なかったらしいが、先週、僕が触ってもわかるくらいのコブがあったのに、先生がなぜ気づかなかったのか…今更言っても仕方が無いけど、それが悔しくてたまらない。

安楽死の方法もあったらしいけど、両親はそれを選ばず、最期を自宅で看取ることを決断。
自宅に戻る頃は弱々しく、両親は傍で頭を撫でてやり、少しでも傍を離れようとすると、かよわい声で鳴いたという。
「最後だから…」と父が外に連れていき、大好きな外の空気を吸わせてやり、徐々に少なくなる息遣いの中、両親が最期を看取った。

僕は心がえぐられるような気持ちでキキの最期を父から聞いていた。高校生の僕が雨の日の帰宅途中に拾ってきた猫。猫とはいえ家族の一員だから悲しい。「きっと苦しかっただろうな」とキキを思うと辛い。せめて、老衰で苦しまずに眠るように最期を迎えられたら…。

僕が拾ってきたにも関わらず、最期までキキを可愛がってくれた両親に感謝。そして、両親の生活を賑やかで楽しい時間にしてくれたキキに感謝…。
『嫌がるのに無理やり抱っこして、お腹をさすってごめん。もう会えないのは寂しくて辛いよ。両親も同じ気持ち。せめてもう一度、元気に走り回る姿を見たかった、抱っこもさせてほしかった。最期とわかっていたら、頭を撫でるだけじゃなくて、抱きしめたかったな。キキ、15年間ありがとう。」