父の誕生日

数年前に静岡で暮らしていた頃。僕はとても悩んでいた時期がある。当時、周囲からすごく追い込まれてるような気がして、何をやるにも自身で勝手にプレッシャーを感じ、やること全てが苦痛にしか思えない時期だった。不安だけが膨らんで大好きな音楽も嫌になる状況。この先どうしたらいいのか本当にわからず、 自分の殻に閉じこもってた。

その年の夏、鹿児島で僕の帰省を楽しみにしていた父に悩んでる姿を見られまいと、帰省中は何でもないフリをしていた。嬉しそうに話しかけてくる父の笑顔は、当時の僕にはとても辛いものだった。そんな時、夕方の海沿いを走り、父の故郷へ向かう車内で突然…


「夕日が海に沈む音を聞いたことあるか?」と父が尋ねてきたので、「聞いたことない」と答えると……


「“ジュッ!”って音がするんだぞ」と、くだらない冗談が返ってきた。

それまでなかなか笑えなかったのに、何故かこれを聞いた時は大声で笑ってた。今、聞くと全く面白くないのになぁ。。その冗談で悩みが解決したわけじゃない けど、心は少し軽くなった。悩んでることにうすうす気付いてたのかな?なんて考えたりもしたけど、たぶんそうじゃないと思う(笑)でも、あのタイミングの 良さが父の凄さかもしれない(笑)

今日は父の誕生日。思えばあの日も父の誕生日だった。照れくさくて、なかなか口には出せないけど本当に感謝しているし、いつまでも元気でいてほしいと心の底から思ってる。早く親孝行できるように頑張ります。